■■米国産牛肉・再び輸入禁止・・・危険部位混入


YOMIURI ON LINE (2006/1/21)

《以下引用》

 政府は20日、輸入された米国産牛肉に、BSE(牛海綿状脳症)の病原体が蓄積しやすい特定危険部位の脊柱(せきちゅう)が混入していたため、12月に再開したばかりの輸入を、再び全面禁止する方針を決めた。
 
安全が確認されるまでの措置。食品の安全性をめぐる議論の末に、一度は決着した米国産牛肉の輸入禁止問題は、振り出しに戻る。米国側のずさんな対応と同時に、米国に対する配慮から輸入再開を急いだ日本政府への批判も強まると見られる。
 
問題の牛肉は、米ニューヨーク・ブルックリンの食肉加工業者が輸出したもので、20日に成田空港に到着。動物検疫所で調べたところ、41箱(390キロ・グラム)のうち3箱(55キロ・グラム)から、背骨がついた子牛の肉が見つかった。これらの牛肉はすべて送り返すか焼却処分する。
 
この業者は、禁輸措置前に日本への輸出実績がある。再開後の今月6日に対日輸出向けの加工場として米政府の認定を受けたばかりだ。第1号となった今回の牛肉には、米政府の検査官の証明書もついていた。
  脊柱は、脳などとともにBSEを引き起こす病原体が蓄積されやすい部位とされ、除去することが日本の輸入条件となっている。
  小泉首相は20日夜、記者団に対し、「再開したばかりなのに残念だ。中川農相から米国産牛の日本への輸出は全部ストップすると電話で報告があった。米国にしっかりとした対応を求めるというので『それはいいことだ』と言った」と述べ、輸入の再禁止を指示したことを明らかにした。さらに中川農相に「厚生労働相とよく協議して米国にしかるべき対応を求め、適切な措置を日本として求めるように」と指示した。
 
輸入再開時の日米間の取り決めでは、重大な違反があった場合、米政府が問題のあった食肉処理施設に対日輸出を禁じることになっている。しかし、今回は首相の強い意向もあり、日本側の判断で全面的な輸入停止に踏み切った。政府は米政府に原因の究明と改善措置に関する報告を求める。米側の報告内容を農水、厚労、外務の3省が協議し、安全性が確保されると判断すれば、輸入を再開する。
 
米国産牛肉は、米国内でのBSE発生を受けて2003年12月に日本が輸入を停止。内閣府・食品安全委員会のプリオン専門調査会(座長=吉川泰弘・東大大学院教授)で、輸入再開のリスクを検証し、脳や脊髄(せきずい)などの特定危険部位の除去や、生後20か月以下の牛に限ることを条件に、2年ぶりの再開を決定。12月16日に解禁から初めての米国産牛肉が成田空港に到着した。
 
米国内での特定危険部位の除去作業をめぐっては、昨年8月、米国政府が自ら1000件を超える手続き違反を公表していた。

 厚労省によると、輸入再開から今月19日までに、1373トンの米国産牛肉が既に輸入されている。

(2006年1月21日1時33分 読売新聞)

 


《コメント》

 非常に不謹慎なのを承知ではあるが、この問題は色んなことが見えてきて、とても面白い。個人輸入を頻繁にする人はよく知っていると思うが、アメリカに直接何か品物を注文して送ってもらうと、様々なトラブルが起こる。ブーツを注文すると「右用」だけ2足入っていたり、注文と違う品物が入っていたり、びしょ濡れの本が到着したり・・・インターネットが一般的になった今でこそ、多少トラブルが少なくなったような気がするが、手紙などでやり取りをしている頃は本当に大変な思いをしたことも少なくない。今ならメールで担当者に、すぐに文句が言えるが、以前は多くの場合、「まぁ仕方が無いか・・・」と諦めることが多かった。「アメリカ人は大雑把だし、まぁしょうがない。」と言う感じである。

 アメリカの企業と言うのは、もちろんいい加減なものではありませんが、それは「少数のとても優れた人材」が「その他大勢の人々」を管理している、という社会です。ルールを決めたり指示をしたりするのは「一部の優れた」人間ですが、実際に荷物の梱包をしたり仕分けをしたり、発送したり運搬するのは「その他」の人達です。アメリカは「自由と平等の国」などと、日本では言われていますが、これほど貧富の差が激しく、差別意識の激しい国も珍しいのではないでしょうか?決してアメリカの悪口を言っているのではありませんが、実際「そういう国」だと思うのです。人々の職業も「ホワイトカラー」「ブルーカラー」などと、はっきり区分けされているのはよく知られています。識字率も日本よりもかなり低く、さらに最近は南米からの移住者・労働者も増えているので、英語さえ話せない人も沢山います。アメリカを馬鹿にしているのではなく、日本のような国の方が「特殊」で少数派なのです。これを日本人は意識すべきではないでしょうか?

 「BSEの危険性は交通事故より低い」と、アメリカの農務次官が発言して、日本の反感をかっているようですが、実際これは本当のことだから仕方がありません。BSE感染牛の牛肉が日本に入ってきて、それを人間が口にして、さらにCJDを発症するリスクは、道路を歩いていて車に轢かれる可能性よりもずっと低いでしょう。フグを食べてあたって死んでしまう確立に比べれば、さらにずーっと低いでしょう。山でキノコを採取して、誤って中毒になってしまう確立よりもずーっとずーっと低いでしょう。では何故、フグやキノコは良くて「牛肉」は駄目なのでしょう?
 これは「日本人がそう言う国民だから」としか言いようがないでしょう。リスクを計算したり正確に評価したり、そういうことが苦手な国民なのだと思います。もともと100%安全な食品など存在しないのに、100%の安全を求めてしまうし、それが消費者の正当な権利だ、と思い込んでいるのです。「善良な市民は何もしなくても100%安全な食品を確保できる」のが当たり前で、何か問題があったら全部誰かのせい、国の責任」と言うのが、最近の日本人のスタイルではないでしょうか?「自分の責任でモノを喰う」と言う姿勢は、30年くらい前に無くなってしまったのかもしれません。

 「確立上安全だ」と言うアメリカと、「100%安全を求める」日本が幾ら協議しても、「安全性」に関するコンセンサスは得られないでしょう。しかし、今回アメリカは自国の政治的理由で日本の(非科学的ではあるけれど)要求を受け入れて、輸入が再開されたわけですから、今度の輸入禁止は「安全かどうか」の問題ではなくて、「一度YESと言った約束を守れるかどうか」という、この一点だけが問題なわけです。アメリカがいまさら「安全性」を強調して、市場開放をせまるとしたら、アメリカはそもそも「出来もしない約束をして、すぐに破った」挙句に、開き直って逆切れしている、と言うことになります。

 だいたいアメリカ産の牛肉が無くて困るのは、牛丼屋以外にどんな業種があるのでしょうか?私は個人的に全く不自由を感じておりません・・・。いっそいらないのでは?たまの贅沢品として時々和牛を食べる、というのでも充分に事足りるのではないでしょうか?

 ちなみに、BSEに関しては「プリオン説はほんとうか?」(福岡伸一,講談社ブルーバックス)と言う本が出ている。これはBSEの原因が「異常プリオン」である、ということに疑問を呈する内容の本で、実際その筋の「専門家」の間では、BSEの原因が本当にプリオンなのか?ということには異議を唱える人も多いらいしい。となると、今のように「危険部位」にいくら気を配っても「無駄な努力」と言うことになる可能性もある。

 


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