■■腎不全治療:マウスへの体性幹細胞移植で成功 東大チーム

msnニュース《http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20050621k0000e040085000c.html


《以下引用》

東京大などの研究チームが、腎不全のマウスに腎臓の体性幹細胞を移植して腎機能を正常に戻すことに成功、20日付の米科学誌「ジャーナル・オブ・セル・バイオロジー」に発表した。ヒトの腎臓にも同様の体性幹細胞があり、人工透析を受けている慢性腎不全患者の治療への応用が期待される。

 体性幹細胞は、体の特定の器官や臓器の基になる細胞。研究チームは腎臓の体性幹細胞の遺伝子を特定し、体性幹細胞が腎臓の間質(糸球体、尿細管以外の部分)にだけ存在することを確認した。また、腎臓の体性幹細胞が血管や尿細管などに分化する能力を持つことも確かめている。

 実験では、急性腎不全マウスの腎臓に、1匹あたり体性幹細胞1万個を移植した。腎不全マウスの体性幹細胞は、健常マウスの約3割に減っていたが、その結果、7日後には血液検査などのデータがほぼ正常値に戻った。体性幹細胞が傷付いた腎臓の細胞を修復したためとみられる。

 研究チームは東京大病院倫理委員会の承認を得て、腎臓摘出を受けた患者から腎臓を提供してもらい、人にも腎臓体性幹細胞が存在することを確認した。今後は、取り出した幹細胞の増殖法などを研究し、増殖させた体性幹細胞を本人の腎臓に戻すという治療法の開発を目指すという。また、体性幹細胞に関連した腎臓の再生に働く遺伝子を対象にする薬物治療も研究していく。

 国内で慢性腎不全により人工透析を受けている患者は03年末で約23万7000人に達し、糖尿病の増加などにより、過去10年間で10万人も増えている。

 研究チームの菱川慶一・東京大大学院助教授(腎臓再生医療)は「腎臓体性幹細胞は新たな器官を作り出す能力だけではなく、既存の器官を修復する能力もあることが明らかになった。体性幹細胞などを標的にした薬物治療も可能になるかもしれない」と話す。【永山悦子】

 【体性幹細胞】さまざまな細胞に分化、成長する能力を持つ細胞「幹細胞」のうち、すでにできあがった体の各器官で増殖、分化するものを「体性幹細胞」と呼ぶ。その器官の各種の細胞には分化できるが、他の器官の細胞にはなれない。一方、受精卵の分裂過程の胚から得られる幹細胞は「胚性幹細胞(ES細胞)」と呼ばれ、生体のあらゆる組織や臓器に分化する能力を持つ。しかし、ES細胞は受精卵を壊して作るため、研究や利用については倫理面の課題が残る。

毎日新聞 2005年6月21日 15時00分


《コメント》

 マウスの実験で成功して、ひととびで「ヒト」への応用への可能性が期待できれば、画期的な治療法となるだろう。獣医療では、特に猫の腎不全が多いので、猫での応用を是非考えてもらいたい。「もらいたい」と他力本願なのはやはり、このような「幹細胞を取り出して培養して、戻す」という操作は一般病院では無理な話である。基礎系の研究室と上手く連携を取って臨床に活かすことのできる大学病院に、是非研究を進めていただきたいものだ。国内で唯一「猫の腎移植」を行っていた麻布大学でも、様々な問題から「腎移植」という治療法は中止してしまったらしい。たしかに、ドナーとなる猫の問題やリスク:ベネフィットのアンバランスなど、色々な問題を抱えた治療法であったと思う。腎移植はヒトでは上手くいっても、猫ではあまり現実的な治療法ではなかったのかもしれない。腎臓を提供した猫自身がすぐに腎不全になってしまう可能性も高いのだから・・・。

 だからこそ、獣医療でもこのような治療法が可能になれば、多くの猫とその飼い主にとって福音となるだろう。ただし、費用の問題など、クリアすべき問題は多いのかもしれないが。


 

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